主な研究成果
主な研究テーマ
- ○ミスの連鎖の発生メカニズムに関する基礎的研究
- ○鉄道業界におけるワーク・エンゲイジメントに関する研究
- ○作業終盤の失念エラーに重要性認知が及ぼす影響
- ○運転士等の眠気予防策に関する研究
- ○異常時の対処法に関する研究
- ○ヒューマンファクター教育の効果測定
- ○ヒューマンエラーに起因する鉄道事故の防止に関する一考察
- ○夜勤時の眠気に関する研究
- ○ホーム柵が運転士に与える心理的負担についての研究
- ○リスク感度の向上に関する研究
- ○役割や権限が与えられたときの対人行動の変化に関する研究
- ○発言しやすい職場環境の醸成に向けた研究
- ○加齢(高齢化)が鉄道係員の業務に与える影響に関する研究
- ○職場における適切なリーダーシップ行動に関する研究
- ○人と装置とのインターフェイスに関する研究
- ○列車運転時における警報音の適正な音量に関する研究
- ○旅客流動確認モニターの検証
- ○新型車両導入時の運転士の習得度の変化について
- ○227系運転台前面パネルの機器配置に関する研究
- ○検査修繕作業における最適な照明に関する研究
- ○ホーム上の酔客対策の研究
- ○駅でのスマートフォン利用に関する調査
- ○鉄道トンネル火災事故における避難行動と救助活動
- ○踏切道における高齢ドライバーの行動特性
あんけんVol.16〜研究成果レポート〜
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- 解決が困難な課題における行動特性に関する予備実験
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本研究では、機器故障などの急なトラブルに見舞われ、解決が困難な状態に陥ったときの思考や行動の特徴を捉え、この状態に陥る要因・プロセスを把握することを目的としています。ここでは、洞察問題という、発想の転換が必要なクイズのような課題を用いた予備実験の結果を報告します。
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- リスク感受性向上に関する研究 −現場作業員への効果的な情報発信に関する検討−
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現場で不安全事象等が発生すると、その情報を社内に周知し、類似事象の再発防止に努めることが重要になります。この情報提供時にどのような工夫があれば、将来、その情報を活かして事象につながり得るリスクを発見できる可能性が高まるのでしょうか。記憶研究の分野では、「自己参照効果」といって、自分に関連付けて覚えた物事はよく記憶されることが知られています。そこで、今回は、リスク情報の提供場面を想定し、現実に近い条件で実験を行い、自己参照効果を検証してみることにしました。
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- 発言しやすい職場環境の醸成に向けた研究
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職場で発言したいことが発言できないと、大事なことが伝わらずにエラーや事故になってしまうことがあります。本研究では、そのような危険な事象の発生を防止することを目指しています。これまでも「職場における発言のしやすさ」や「心理的安全性」が「安全行動」に対しどのように影響するかについて調査を行ってまいりましたが、一般の社会人を無作為に募集したため、「心理的安全性」が組織ごとにどのように現れるのか、組織単位での分析や考察を行うことができませんでした。そこで今回は、協力者の所属する職場単位での分析を可能とする目的で複数の工務系職場を対象に調査を行い、分析では従来からの個人単位に加え、職場単位での分析を試みました。ここでいう心理的安全性とは、「リスクをとることに対し当該チームは安全であるとチームメンバーにより共有された信念」と定義されており、人々が口に出しにくい懸念等を気兼ねなく発言できる雰囲気を指します。心理的に安全な環境では対人不安が低く、人々はアイデアや疑問や懸念を積極的に発言するようになると言われています。
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- 働き方の多様性と職場における適切なコミュニケーションに関する研究
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コロナ禍において、テレワークやオンラインツールの使用等、働き方が大きく変化しました。それに伴って、職場でのコミュニケーションの方法や頻度も変化しています。この変化は、職場での人間関係や仕事の効率に影響を与えている可能性が考えられます。そこで本研究では、コロナ禍によるテレワーク導入から約2年の時点でのテレワーク実態を調査しました。そして、コミュニケーションの変化による職場での人間関係や仕事の効率への影響をどう捉えているかを調べました。また、これらの影響の捉え方の違いとテレワークの実態との関連を明らかにしました。本報告では、これらの調査結果の一部を報告します。
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- 鉄道業界におけるワーク・エンゲイジメントに関する調査
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ワーク・エンゲイジメントとは、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態をいい、活力・熱意・没頭の各要素によって特徴づけられると定義されています。ワーク・エンゲイジメントが高い社員は、仕事に積極的に関与すると言われ、上司同僚のサポートや仕事の裁量権等の働く環境を表す「仕事の資源」が適切に整えられるとワーク・エンゲイジメントを高めることができること、またワーク・エンゲイジメントが高まると仕事のパフォーマンスが向上することが示されています。前回報告と同じく「仕事の資源」を向上させるとワーク・エンゲイジメントも向上し、ワーク・エンゲイジメントが向上すると「安全行動・意識」も向上するという因果関係が成立すると仮説を立てて設定した因果関係モデルの検証を行いました。加えて、「チームの中で対人リスクを恐れずに思ったことを気兼ねなく発言できる状態を示す「心理的安全性」は、「仕事の資源」の職場環境にあてはまるのではないか」との仮説を立て、因果関係モデルの先行変数を置き換えたモデルの検証・調査を関西にある鉄道会社A社にて行いました。
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過去の主な研究成果について
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2021年度まで
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2020年度まで
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2019年度まで
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2018年度まで
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2017年度まで
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平成28年度まで
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平成27年度まで
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平成26年度まで
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平成25年度まで
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平成24年度まで
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平成23年度まで
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平成22年度まで
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平成21年度まで
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平成20年度まで
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平成19年度まで
いずれも無断複製厳禁です。
教材の発行と社内外への配布
事例でわかるヒューマンファクター
安全研究所では、2007年3月に教材「事例でわかるヒューマンファクター」を発行し、2019年3月までに社内・社外に対し15万部あまりを配布してきました。この教材は、ヒューマンファクターとは何かをやさしい表現でわかりやすく解説しており、社内外のヒューマンファクター教育に活用されています。
一方、発行後10年以上が経過したことから、新たに正常性バイアス、確証バイアスの追加など内容の見直しを図るとともに、この間の研究活動等から得た知見や成果を盛り込み、「ヒューマンファクターの一層の理解・浸透に向け」改訂し、この度、「事例でわかるヒューマンファクター1【基本編】」(A4版89頁)として発行しました。
事例でわかるヒューマンファクター(初版)
事例でわかるヒューマンファクター1【基本編】
第1章では、ヒューマンファクターの基本的な考え方などを説明し、第2章では、「脳への情報がうまく伝わらなかった」とき第3章では、「判断をうまくできなかった」ときにそれぞれ生じるエラーについて紹介しています。
第4章では前章で紹介したヒューマンファクターを含め、エラーを防止するために、皆で取り組むべき対策や守るべきルール等、私たちをとりまくものについて説明しています。
事例でわかるヒューマンファクター2 リーダー編
2017年3月には『事例でわかるヒューマンファクター』の続編として、前書と同様に学界の知見等も参考にしつつ、現場第一線の管理監督層に知ってほしい事項を盛りこんだ教材を発行、現場第一線の社員およびグループ会社へ配付しました。
管理監督層として実践して欲しい事項(7項)を抽出し、前編より、ステップアップした内容ではありますが、身近な事象を例にあげ、イラストや図表を豊富に盛り込みわかりやすく解説しました。(A4版50頁)
この内容についても安全研究所が各支社に赴き、教材の活用法などについて出前講義を行っています。
事例でわかるヒューマンファクター2【リーダー編】
乗務員のための睡眠ハンドブック
2009年11月に運転士のための眠気防止ガイドラインを発行しました。安全研究所では、乗務員への眠気防止対策として、学界の知見を参考に、眠気防止に必要と考えられる、個人の「身体や睡眠のメカニズム」を知ってもらう研究をおこなってきました。
このガイドラインをベースに新たな知見や日常生活で留意すべき事項を追記・改訂する形で、2018年3月に「乗務員のための睡眠ハンドブック〜安全と健康のために〜」を発行しました。2021年3月に、よりわかりやすく正確な記述とするため、内容の一部を改変しています。(A4版53頁)